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国際法と核廃絶:G7広島サミット開催記念シンポジウム

 シンポジウムの席で「国際法を作っても問題は解決しない(=圧力では解決しない) 」という点を指摘させていただきました。


 要は、国際法を作っても核廃絶は実現しないということをお話したかったのですが、これは軍縮国際法の歴史を振り返れば明らかなことです。


 まず、核兵器関連の国際法として、一番重要と言っても過言ではない、「核兵器不拡散条約(NPT)」という国際法があります。


 NPTは第二次世界大戦後、核兵器に関する国際法が何もない、つまり核兵器について国際的なルールが何もない(何しろ1945年にアメリカが初めて使った兵器ですので)状況をどうにかしなくてはいけないという考えから生まれた国際法です。

 できたのは1968年(発効は1970年)。第二次世界大戦終了から23年も経ってのことです(NPTができるまでのお話はまた別の機会にさせていただきます)。


 このNPTには、有名な第6条というのがあります。

 この第6条は、NPTに入っている全ての国に、誠実に軍縮交渉を行う義務というものを規定しています。


 つまり、NPTという国際法に、法的拘束力のある国際義務として、軍縮交渉を行うことが盛り込まれているのです。核軍縮を進ませることを狙って、長い長い交渉の末、盛り込まれた条文です。

 ところが、1970年の発効から40年以上経っても、核兵器国*は、この第6条に一向に従おうとしない。。

     *核兵器を保有しつつNPTに入っている5カ国(アメリカ、ロシア、中国、フランス、イギリス)を  

       「核兵器国」と呼ぶ


  1993年には、核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)という国際法を作って、核兵器の材料となる物質(核分裂性物質)の生産を禁止することで、新たな核兵器が作られることを阻止しようというアイディアも出されました。

 

 ところがこのアイディア、国連総会がこのアイディアに従ってFMCTの交渉を開始することを正式に決定しているのに、30年以上たった今も交渉が開始されていません。何故かというと、国連総会での決定は多数決で行われますが、実際に交渉を行う場となる「軍縮会議(CD)」での決定はコンセンサスが必要となるためです。交渉開始に反対する国がいる限り、交渉は開始されないのです。そして実際、一貫して反対している国(パキスタン)がいます。

 

 さらに、1996年には、包括的核実験禁止条約(CTBT)という国際法ができました。核実験を禁止することで、核兵器が作られないようにしようという国際法です。

 このCTBT、国連総会における多数決で採択はされた(=テキストはできた)のですが、26年以上たった今も国際法として発効していません。発効するためには、インドが参加することが条件となっているのですが、インドが一貫してこの条約に反対しているからです。

 

 まとめるとこうなります。

 

 1970年 NPT発効 → 第6条(軍縮交渉義務)守られていない。

 1993年 FMCT提案 → 30年経った現在も交渉は開始していない。

 1996年 CTBT採択 → 採択から26年以上経った現在でも発効していない。  


 主権国家の集まりである国際社会において、国際法に入る入らないは国家次第。どの国も他の国に、この国際法に入れと強要することはできません。

 そして、国際法に従わない国があったとしても、従わせるだけの「強制力」を持っていないのも国際社会です(NPT第6条に従わない核兵器国に対して、強制力を持って従わせることができないのが現実です)。

 つまり、国際法を作ってみたところで、核兵器を手放すつもりがない国を従わせることはできないのです。


 では、どうすれば良いのか。


 次回は、「核兵器がなくなることによって安全保障が脅かされると考える国がある限り、核軍縮・核廃絶は実現しない。」という点についてお話ししたいと思います。

 

 その前に、国際法によらない解決策を探る取り組みの一つをご紹介させていただきます。

 2月末に私も参加させていただいたワークショップの報告書です。


 インド、パキスタンの核保有の問題に対処しなくては、核廃絶は実現しませんので。

 ちなみに、この2カ国はNPTには入っていません。




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